「プログラムにバグがある!」と耳にすることがよくありますが、そもそもなぜエラーを「バグ(虫)」と呼ぶのでしょうか?
実は、これには昔のコンピュータに本物の「虫」🦋が関係していたという驚くべき事実があるんです。
この記事では、そんな意外な歴史とともに、現代でも使われ続ける「バグ」という言葉の背景を紹介します。
1.「バグ」の起源—コンピュータの中に虫がいた!
話の発端は、1947年にさかのぼります。この年、世界初期の電子コンピュータの一つである「Mark II」が故障しました。当時、コンピュータは現在のように小型でスマートではなく、部屋いっぱいに広がるほど巨大で、高速電磁リレーで構成されていました。
技術者たちは異常の原因を調べようと、コンピュータ内部をくまなく点検。すると、驚いたことに小さな蛾(が)がリレー回路に挟まっているのを発見しました。この蛾が原因で、電気が正しく流れず、コンピュータが停止してしまっていたのです。
技術者の一人、グレース・ホッパー氏は、取り除いた蛾をノートに貼り付け、”First actual case of bug being found”(「初めての実際のバグ発見例」)と記録しました。この出来事がきっかけで、コンピュータの不具合を「バグ」と呼ぶ習慣が広まったのです。
2.「バグ」という言葉はいつから使われていた?
とはいえ、「バグ」という言葉自体はMark IIの事件以前から存在していたことも確認されています。19世紀後半、エンジニアたちはすでに機械の故障や不具合を「バグ」と呼んでいました。
当時の「バグ」は、機械や電気システムに起こる問題全般を指す言葉でしたが、コンピュータの分野で特に有名になったのは、前述の「蛾事件」以降です。そのため、コンピュータ用語としての「バグ」は、この歴史的エピソードに大きく影響を受けています。
3.「バグ」をなおす「デバック」
コンピュータの世界で「バグをつぶす」ことは、問題解決の象徴的な作業です。バグはプログラム内のミスや不具合を指し、その原因を特定し修正することで、システム全体の正常な動作が取り戻されます。
バグを修正する作業をデバッグと呼び、これはプログラミングの重要なプロセスの一つです。プログラマーたちは、複雑なコードの中に潜むバグを見つけ出すために、あらゆる方法を駆使して探求します。まるで草むらから虫を探すように、プログラムの中に隠れたバグを根気よく発見して修正する作業は、熟練の技術と経験が要求されます。
バグも進化の一歩!—蛾事件のユーモアに学ぶ
1947年の「蛾事件」、つまりコンピュータ内に実際に蛾が入り込んで動作が止まったことで「バグ」という言葉が広まったのは、今となっては面白いエピソードですよね。バグが単なる技術的な問題から、その名前自体にこんな由来があるなんて、少しユーモアを感じます。
バグに出会ったとき、つい肩に力が入りがちですが、そんな時こそこの歴史を思い出してみましょう。
「ああ、昔は本当に虫が原因だったのか!」なんて笑いながら、軽やかに問題を解決していけたらいいですよね。